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吾妻 信和|パートナー

16歳で職人、18歳で職長に!職人に向いている人は何が違う?

職長が分析する成功する職人の共通点

16歳で職人に、18歳で職長として活躍している吾妻さんに、
職人に向いている人の特徴や成功する職人の共通点を聞いてみました。

職人の仕事に感動して、すぐ職長になろうと思った。

━ まずは職人になった経緯について教えてください。

高校を中退して何もすることがなかったので、軽天の職人だった兄に自分からお願いして仕事を紹介してもらったのが、職人としてのキャリアの始まりです。

━ 16歳で軽天の職人をやってみて、どう感じましたか?

中学生のときは、現場仕事にあまり良いイメージがなかったんですけど、やってみたらそんなことはなかったです。逆にモノを作る仕事はすごいなと感動して、自分も『もっとできるようになりたい』と思いました。

━ 現場に入ってみて、技術の習得は大変ではなかったですか?

下地もボードもできる人がいたので、現場で下地とボードの技術を同時に教わりました。
やっていくうちにできるようになると思ってたんで、特に苦労することはなかったです。早く仕事を覚えて、現場の職長をやりたいと考えていました。

━ 技術のつまづきがなかったんですね。いつ職長の仕事がスタートしたんですか?

職人になってから2年後に、ずっと下地とボードの繰り返しに飽きて、18歳で『職長をしたい』って親方に言いました。そしたら、まだ早いって言われて(笑)それでも何回も言って、日建スチールの人にも助けてもらって、18歳で職長をスタートしました。

━ 18歳の職長というのは、とても早いですね!実際に職長をやってみてどうでしたか?

職長になって現場のことを理解するだけじゃなく、コミュニケーションも大切だと感じました。職長をやることで自分の視野が広がり、もっと学びたいという気持ちが湧いてきました。それで、『これやな!』って思いました。

職人から職長へ。何が何でも黒字を出す。

━ 職長をやるうえで、心がけてたことを教えてください。

『俺が職長をやった現場では、絶対に利益を出す』と思ってやってました。

━ 結果はどうでしたか?

日建スチールの施工管理の方に聞いてみてほしいんですけど、これまでやってきた3年間、赤字は1回も出してないはずです。

━ 3年連続黒字はすごいです。18歳の職長だとベテランの職人さんとの衝突も予想されますが、そういった他の職人さんとのやり取りはどうでしたか?

ひとりひとりの職人さんに合わせて、声かけをするようにしています。同じ立場でしゃべることもあれば、教えてもらう前提で話を聞いて、意見をすり合わせてからお願いすることもあります。

━ 職長として大事にしていることはありますか?

やっぱりお客さんのニーズに答えることですね。お客さんである現場のゼネコンさんが求めている『工程』『品質』を守りながら、それ以外の「効率化」を追求することです。そのために、相手の視点に立って『僕らに何ができるのか』を考えています。例えば、次の工程を進める業者のことを考えたりはしますね。

━ 『工程』は前工程、後工程とありますが、その交渉もするんですか?

します。施工管理の方にお願いするのではなく、現場のことは現場がします。前工程の交渉では、現場全体のことを考えて『何のためにするのか』『何でやらないといけないのか』5手6手先の事を考えた上で、それを伝えて交渉します。そこまで現場のことを考えてくれてるんだったらやってもらおうかなって思ってくれますね。

利益を出すために『労務のアンテナを張ること』

━ なるほど。他に利益を出す上で意識していることがあれば教えてください。

『工期を守ること』と『品質を高めること』の2つが大前提で大切だと考えています。
その上で、利益を出すためには『どうすれば少ない人数で効率的に仕事をこなせるか』を常に意識しています。

━ 少ない人数で効率的に仕事をこなすために、現場で何を意識していますか?

労務費をみています。労務費が過剰になっていないかを見極めるために、常にアンテナを張って労務管理を徹底しています。現場での労務費用がどの程度かかっているかを把握するために、作業の進捗状況に応じてパーセンテージを計算していて、作業の進捗状況を把握することで、必要に応じて時間管理を調整していますね。

材料管理も重要です。材料の数量や使用先など、細かいところまで材料一つ一つ無駄がないように考えています。例えば、プレカットの場合は自分たちでやるか、外部に依頼するかをコストを考慮しながら決めます。

人に教える時に自分のものさしで話さない。

━ 現在、何人でお仕事をされていますか?

自分と高校の友人2人、外部に依頼している7人の計10人体制で仕事をしています。

━ いっしょに働くメンバーの教育についても聞かせてください。チームメンバーの教育で大事にしていることは何ですか?

自分のものさしだけで教えないことです。相手の長所を見て、相手の良いところが伸びる教育を心がけています。
過去に『俺ができるんやから、できるやろ?』って個性や能力を無視した教育をされて苦しい思いをしたことがあったんです。その経験から、相手の長所を伸ばせるような教育が重要だと思ってます。そうすることで、メンバーが自分の能力を引き出して頑張れるようになれるんちゃうかなと考えるようになりましたね。

その前提で技術を教えるときには、未来志向で教えています。その作業が将来にどのような意味を持つか、何を達成するために必要なのかを説明して教えるようにしています。

━ どんな新人と一緒に働いてみたいですか?

未来しか考えてない人がいいですね。
『俺本物になりたいねん』って熱意持って言っている人がいいです(笑)

━ 大体何年で職人として一人前になれるんですか?

学ぶ速さはその人のやる気次第なところが大きいので、何年かは言い切れないですね。ただひと通り学ぶのに約3年はかかります。

━ 吾妻さんが思う、職人に向いているのはどんな人ですか?

職人に向いている人は、自信を持って『俺が最強の職人』と思える人。自信を持ってやっている職人の8割は、現場で仕事が早いし丁寧です。
スキルは『教えてくれー!』って自分から来るならグンと伸びます。『俺がしたいから、やらしてくれ』って言えるようない人じゃないと伸びないし向いてないと思いますね。

だから、そうさせるために教育はどうあるべきかなっていうのは、やっぱり考えます。
頑張りたくない人を変えるのは難しいけど、仕事に対して意欲のある人だったら、環境で頑張っていこうと思えるようにできます。

━ いっしょに働くメンバーは吾妻さんに意見を言える環境ですか?

メンバーに聞いてもらいたいですが、たぶん言えていると思います。自分ひとりだけだと周りが見えなくなって暴走しちゃうんで、積極的に意見を言い合える環境を大切にしています。

━ なるほど、良いチームですね。吾妻さんは未来志向で、常に前を向いてお仕事をされているように感じます。キモチが下がることはありますか?

現場で働く職人さんがしんどそうにしてたり、人の感情が読み取れてマイナスな空気がたまってるのを感じたときですね。人に迷惑かけてることが自分の責任やと思うんで「もっとこうしたら良かったなー」って落ち込みます。

━ 逆に仕事のやりがいを感じる瞬間はありますか?

職人さんが自分で作ったものを見て感動している姿を見たときは、自分も感動します。一緒にいい形を模索しながら話し合いをして「よし、それでやってみましょう!」ってなって、完璧にバチッと完成して「どう?」って僕に嬉しそうに伝えてくれる、その顔を見ると「本当に良かったな〜」って思います。

━ 最後に職人になろうとしている人のメッセージがあれば教えてください。

難しいですねー(笑)ほかの職人さんは何て言っているんですか?
うーん。まだ職人を募集したことはないんですけど、熱意のある人と一緒に仕事をしてみたいです。やってみたら思ったより職人は『楽しい』というのを伝えたいですね。

本日はありがとうございました。

インタビュー名
吾妻 信和|パートナー
所 属
A-rise
職人を目指す!